Cureusの成り立ちと意義、評価、批判を包括的に解説。
Cureus(キュリアス)は、2009年にスタンフォード大学の神経外科医ジョン・アドラー博士とミュンヘン大学のアレクサンダー・ムアチェヴィッチ博士によって設立された、オープンアクセスの医療学術誌です。
従来の医療出版の壁を取り払い、誰でも迅速に査読付き論文を発表できるプラットフォームを提供することを目指しています。
正式名称:Cureus Journal of Medical Science
発行元:Springer Nature
ISSN:2168-8184
主な編集者:ジョン・アドラー博士、アレクサンダー・ムアチェヴィッチ博士
設立年:2009年(当初は「PeerEMed」としてスタート)
アクセス形態:完全オープンアクセス
査読方式:単盲検式の事前査読と、投稿後に読者が評価する「Scholarly Impact Quotient(SIQ)」を採用
インパクトファクター(IF)は2022年時点で2年平均・5年平均ともに1.2。
総被引用数は2025年時点で125,000件以上。
平均投稿から公開までの期間は約33日であり、迅速な公開が特徴です。
また、無料で公開された論文の割合は31%に達します。
2024年10月時点で、CureusはWeb of Scienceの「Emerging Sources Citation Index(ESCI)」に収録されていますが、同年9月にClarivateにより評価が一時保留され、再評価中です。この措置は、過去の掲載論文の品質に関する懸念によるものです。
Cureusは内科、外科、放射線科、小児科など広範な医療分野をカバーしています。
特に症例報告や技術報告に強みがあり、投稿から公開までが非常に迅速です。
投稿者はステップバイステップのテンプレートを利用して効率的に論文を作成できます。
日本の研究者からも多数の投稿があり、症例報告や技術報告が中心です。
投稿は英語で行う必要がありますが、英語論文執筆の支援も提供されています。
Cureusは迅速な査読とオープンアクセスモデルで一定の評価を受ける一方で、以下のような批判もあります。
Cureusは、医療研究の民主化と迅速な情報共有を推進する革新的なプラットフォームです。
特に症例報告や技術報告の分野で優れた機会を提供する一方、査読の質や過去の問題についての慎重な考慮も求められます。